こんにんちは。
アラフォー独女のMOMOです。(プロフィールはこちら)
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作家・辻仁成さんの小説を紹介するシリーズ第5弾です。
今回は2018年に河出書房新社から発売された「真夜中の子供」のご紹介です。
2023年には小説「真夜中の子供」が原作の映画「中洲のこども」が公開される予定です
監督はもちろん、辻仁成さんです!
映画「中洲のこども」の撮影の様子は辻さんのブログをどうぞ↓
「真夜中の子供」は九州最大の歓楽街、福岡市博多区の中洲が舞台です。
中洲で生まれ、中洲で育つ無国籍児の少年「蓮司(れんじ)」と
彼をとりまく中洲の人々との交流を中心に描かれており、とくに印象的だったのが
博多を代表する祭りのひとつ「博多祇園山笠(はかたぎおんやまかさ)」を
通して成長していく真夜中の少年、蓮司の姿です。
辻さんのブログで、2023年に映画「中洲のこども」が公開予定だと知り、
原作の小説をどーしても読みたくなって手に取った一冊です。
よろしければこちらの記事もお読みください☺↓
この記事はこんな人におすすめ です♪
- 本・読書が好きな人
- 福岡県出身の人(中洲が舞台なので)
- 辻仁成さんの小説に興味がある人
真夜中の子供(まよなか の こども)
- タイトル 「真夜中の子供」(2023年映画「中洲のこども」が公開予定)
- 著 者 辻 仁成(つじ ひとなり)
- 出 版 社 河出書房新社
- 発 行 日 2018年6月30日
※こちらの記事は可能な限りネタバレしないように書いています。
作品紹介
2005年4月、中洲警部交番に勤務する若手警察官の響(ひびき)は、巡回中の夜のネオン街の中洲で
「真夜中の子供」と呼ばれる5歳の少年、蓮司(れんじ)と出会います。
中洲でホストとホステスとして働く蓮司の両親は、育児放棄をしており、
蓮司の出生届も提出しておらず、無戸籍の状態だったのです。
小学校にも通えない蓮司を、響は常に気にかけるようになります。
国籍を持たない蓮司は、自らのアイデンティティを求め「中洲国」を設立し、
独自のパスポートを作り、中洲の外側を「外国」と呼ぶようになります。
親の愛情に恵まれない蓮司ですが、中洲で働く大人たちに支えられ成長していきます。
ある日、中洲に現れたある男の存在をきっかけに、蓮司の運命は大きく変わっていきます。
自分の居場所を探す蓮司と、蓮司を取り巻く中洲の人々の2005年から2019年までの物語です。
感想
蓮司が「中洲国」を創らなければいけなかった理由
戸籍がなく、小学校にも通うことができない蓮司は
中洲を取り囲む橋の欄干や親柱にマジックで「×」の印をつけます。
それは中洲が「中洲国」であり、自分の領土であることを示す印でした。
中洲国のパスポートを作り、自らを中洲国の大統領と記します。
のちに17歳になった蓮司はこう語ります。
「7歳の自分には中洲国が必要やったとです」
中洲を「中洲国」とし、中洲の外の世界を「外国」と呼ぶ蓮司。
「中洲国」は蓮司にとって国家であり、パスポートは自分の存在を証明する確かなものだったのです。
中洲を取り囲む橋の向こう岸の「外国」で、同年代のランドセルを背負った子供たちを見かけるたびに目を背けるしかなかった蓮司にとって、
「中洲国」は彼の心を守るための国家だったのかもしれません。
当たり前のように戸籍と国籍があり、日本で生まれた日本人の私は、
これまで自らのアイデンティティについて考える必要がありませんでした。
近年、外国人の増加にともない日本でも無戸籍者は増加傾向にあると言われています。
「蓮司の存在は、そんな日本の側面を象徴しているみたい 」
と、読後に思った私です。
日本(しかも田舎)に住んでいると、なかなか気がつきませんが、
世界に目を向けると、国籍も国家も持たない人々が多く存在します。
小説「真夜中の子供」を読んで、アイデンティティについて考えるきっかけになりました。
2023年公開予定の映画「中洲のこども」では、どのように描かれるのか楽しみです。
躍動感あふれる博多祇園山笠の熱狂と少年の夢
この小説では、博多のお祭り「博多祇園山笠(はかたぎおんやまかさ)」が
蓮司と中洲の人々と繋ぐ、大きな役割をしています。
初めて舁き山(かきやま)と、ふんどし姿の男たちを目にしたときから
その迫力と勇壮さに、蓮司は心を奪われます。
舁き山を担ぐ男たちの「オイサッオイサッ」の掛け声と、その熱気、躍動感は
読んでいるこちらも心が弾みます。
※舁き山=お神輿のことらしい
「いつか、あの舁き山を舁いてみたい」
そう願う蓮司の姿に、戸籍を持たず、親の愛情さえ受けずに育つ少年の心に
希望の灯りがともったような気がして、読んでいて安心しました。
おわりに(映画「中洲のこども」の公開が楽しみ)
スマホのアラームがなる前にベッドを抜け出し、辻仁成さんのブログを読みながら
熱いコーヒーをすするのが、私の朝の日課になっています。
普段はパリに住んでおられる辻さんですが、今夏、映画「中洲のこども」の撮影のため
約2年半ぶりに日本へ帰国されること知りました。
映画の原作の小説「真夜中の子供」は、まだ読んでいなかったので手に取った次第です。
2022年11月17日の辻さんのブログでは、映画は完成されたようですが
まだ配給先は決まっていないとのこと。(辻さんのブログはこちら)
中洲の大人たちに見守られながら成長する蓮司の姿や、博多祇園山笠の熱狂を
映像で観られることを、楽しみに待ちたいと思う今日この頃です。
↓パリで息子さんと暮らした日々を綴った辻さんの日記がエッセイ本になりました!
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