本の感想「正欲」朝井リョウさんの小説 2023年映画化&第34回柴田錬三郎受賞

本のこと

こんにんちは。

アラフォー独女のMOMOです。(プロフィールはこちら)

* * * * *

今回は朝井リョウさんの小説「正欲」のご紹介です。

「正欲」は朝井リョウさんの作家生活10周年を記念して出版された、書き下ろし小説です。

第34回柴田錬三郎賞を受賞し、2022年の本屋大賞にもノミネートさた本です。

さらに2023年に稲垣吾郎さん、新垣結衣さん主演で映画化されました。

「正欲(せいよく)」をを読んだ率直な感想は…

今まで認識していた“”多様性”という言葉の意味に、初めて疑いを持った

もっと簡潔に言うと、

価値観がぶっ壊れた(いい意味で)

朝井リョウさんご自身も「正欲」について以下のように述べています。

生き延びるために本当に大切なものとは、何なのだろう。

小説家としても一人の人間としても、明らかに大きなターニングポイントとなる作品です。

朝井リョウ『正欲』作家生活10周年記念作品特設サイトより

今まで「考える」ことすらできなかった世界や価値観が存在する…

読書は「知る」ことの範囲を大きく広げてくれることを改めて実感しました!

いろんな意味で衝撃を受けた朝井リョウさんの「正欲」の紹介と感想です。☺

よろしければこちらの記事もお読みください☺↓

この記事はこんな人におすすめ です♪

  • 本・読書が好きな人
  • 朝井リョウさんの小説に興味がある人
  • 映画「正欲」を観ようと思っている人・すでに観た人
  • 自分が「マイノリティ(少数派)」だと感じたことがある人

正欲(せいよく)

  • タイトル 「正欲」(第34回 柴田錬三郎賞受賞作)
  • 著  者  朝井 リョウ(あさい りょう)
  • 出 版 社  新潮社
  • 発 行 日  2021年3月25日

※こちらの記事は可能な限りネタバレしないように書いています。

作品紹介

ある事件で摘発された容疑者たちと関係がある、3人の登場人物を中心に物語は展開します。

寺井 啓喜(てらい ひろき)…検察官

  • 正義感が強く、ルートから外れた人間を嫌う一方、小学生の息子が不登校になったことに歯がゆさを感じている
  • 小学生YouTuberに影響され動画を投稿するようになった息子泰樹と、それを応援する妻由美との間の溝が深まっていく

神戸 八重子(かんべ やえこ)…女子大生

  • 兄の影響で男性へ恐怖感を持つようになるが、同じ大学に通い事件の容疑者でもある諸橋大也にだけは恐怖を感じないことに気付く
  • 学際実行員でミスコンの代わりに、多様性を重視する「ダイバーシティフェス」を開くよう提案する

桐生 夏月(きりゅう なつき)…寝具店店員

  • 「睡眠欲は私を裏切らないから」という理由で、地方のショッピングモールの寝具店で働いている
  • 人には言えない「ある秘密」を抱えており、かつて秘密を共有した同級生で事件の容疑者である佐々木佳道と再会する

ある誤解から生じた事件の容疑者となった諸橋大也佐々木佳道と関わる3人の登場人物を通し、「多様性」の矛盾があぶり出されます

多様性」「マイノリティ」「特殊性癖」「繋がり」これらの言葉が物語と絡み合いながら、登場人物それぞれの苦悩や葛藤が描かれています。

映画化 2023年全国ロードショー

「傑作か、問題作か ―」

読者の価値観を激しく揺さぶるベストセラー小説「正欲」が映画化されました!

  • 公開日…2023年11月10日 全国ロードショー
  • 監督…岸 善幸(代表作『あゝ、荒野』『二重生活』
  • 脚本家…港 岳彦(代表作『MOTHERマザー』『とんび』)
  • 主演…稲垣 吾郎 (寺井 啓喜 役)・新垣 結衣桐生 夏月 役)

価値観や常識について考えさせられた原作小説「正欲」が、映画ではどのように描かれているのか気になります!

映画の公式サイトはこちら

感想

  • マイノリティの中のマイノリティという世界の存在
  • 想像の範囲内の「自分とは違う」多様性と人の許容範囲の限界
  • 想像すらできなかった世界・価値観の存在を認識することの意味

マイノリティの中のマイノリティという世界の存在

マイノリティ(少数派)という言葉で連想するものは何でしょうか?

例えばLGBTQという言葉で表現される性的少数派は近年、社会的にも認められる傾向にあります。

私自身も40代で未婚・子なしであることは、地方で生きる身にはマイノリティに属していると感じていました。

しかしそれらはマイノリティの中のマジョリティ(少数派の中の多数派)であり、想像しうる“自分との違い”であることに気づかされます。

マイノリティの中のマイノリティを自覚し、他人には想像すらできない性的趣向を持つ人々が存在すること。

「正欲」では噴出する水、予想外に形を変える水に性的興奮を覚える人々が登場します。

この世には決して口に出せない趣味嗜好・性癖をもつ少数派の中の少数派という人々が存在し、

それを他人に悟られないよう、本当の自分を偽りつづけなければならない苦悩があること。

私が考えていたマイノリティは、私が想像できる範囲の少数派の中の多数派にしか過ぎなかったのね?

自分が生きていた世界の中に、今まで見えていなかった別の空間が同時に存在していた。

そんな気分になり、しばらく呆然としました。

想像の範囲内の「自分とは違う」多様性と人の許容範囲の限界

多様性、という言葉が生んだものの一つに、おめでたさ、があると感じています。

~(中略) ~ これらは結局、マイノリティの中のマジョリティにしか当てはまらない言葉であり、話者が想像しうる“自分とは違う”にしか向けられていない言葉です。

『正欲』P6より

正直言って、冒頭に出てくる上記の文章を読んでもピンときませんでした…

「正欲」を読みすすめるうちに、それまで認識していた“多様性”という言葉が急に、ペラペラの耳障りのいい言葉に思えてきました…

例えば小児性愛者や現在も起きている戦争を正当化する人々など…

「多様性」という言葉では決して受け入れられない想像を絶する“自分とは違う”

それらが社会から排除されている現実が、ずっと前から存在していたことを、「正欲」を読んで初めて知りました。

想像すらできなかった世界・価値観の存在を認識することの意味

読了後、自分には想像すらできなかった世界・価値観が存在することを知りました。

では、知ってどうするのか?

「正欲」が読者に投げかけたものは、何だったのか?

「正欲」を読んで、呆然とした後、自分には想像すらできなかった世界・価値観が存在することを知りました。

では、知ってどうするのか?

「正欲」が読者に投げかけたものは、何だったのか?

読後、こんな疑問が湧いてきました。

私たちが受け入れることが可能か否か、判断の机上にある多様性とは、

あくまで「想像できる範囲の多様性」であることを理解すること。

この世には自分では想像すら出来ない世界・価値観・人々が存在していることを認識したとき、

目の前の現実で起きている出来事やニュースには、目には見えていな裏側があるかもしれないと、

与えられた情報のみで判断せず、立ち止まって考えることができるのかもしれません。

それは人間関係においても、見えている表面的な美醜や振る舞い、関係性だけに囚われることなく、

その人の本質を理解することで、自分にとって本当に大切な人とは誰かということに気づく手助けになるのではないかと、

「正欲」を読んで、自分なりの意味を見出すことができたような気がします。

おわりに

今回、朝井リョウさんの「正欲」を手にとったきっかけは、毎度おなじみ(?)林真理子さんのYouTubeチャンネル「マリコ書房」で紹介されていたからです!

読書をするとき、いつも困ることのひとつに…

もっといろんなジャンルの本を読んでみたいけど…

自分で選ぶ本は、いつも決まったジャンルや作家の本に偏ってしまうんだよな💦

ということでした。

自分の好みだけに偏らず、もっといろんなジャンルの本を読んでみたかった私には、

林真理子さんのYouTubeチャンネル「マリコ書房」はとても有難いのです♪

もちろん、元から林さんの小説のファンだったこともありますが…☺

このチャンネルで紹介された本や、自分で気になって手に取って読んだ本の中から、

面白かった本を当ブログで紹介していけたらなと思っています。

よろしければ今後もお付き合い頂ければ嬉しいです。m(__)m

「風よ あらしよ」はドラマ化され、稲垣吾郎さんも出演されています↓

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ここまでお読みいただいてありがとうございます。

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