こんにんちは。
アラフォー独女のMOMOです。(プロフィールはこちら)
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先日、数年ぶりに映画を鑑賞しました。
村上春樹さんの短編小説が原作の映画「ドライブ・マイ・カー」です。
2021年8月に上映が開始され、第94回(2022年)アカデミー賞の全4部門(作品賞・脚色賞・監督賞・国際長編映画賞)にノミネートされたことから、日本国内での上映も盛り上がりをみせている作品です。
追記:国際長編映画賞を受賞しました!(2022年3月28日発表)
アカデミー賞の発表は2022年3月28日です!
- 監督 濱口竜介
- 原作 村上春樹
私は友人に勧められるまで、この映画を全く知りませんでした。(>_<)
「ドライブ・マイ・カー」は現在アメリカでも上映されており、アメリカ在住の友人から
僕にはこの映画はとっても面白かったけど、人にすすめる自信はないよ
と、気になる感想をもらったことから、数年ぶりに映画館へ観にいきました!
179分と長い作品だけど、最後まで飽きることなく観れました!
だけどちょっと難しいところもあり、好き嫌いが分かれる映画かも💦
さらに映画の原作となった村上春樹の短編小説「ドライブ・マイ・カー」も気になり、次の日さっそく読んでみました。
ドライブマイカーは「女のいない男たち」(文藝春秋)の中に掲載されています。
映画と小説では主要登場人物の名前などは同じですが、ストーリーはけっこう違います!
だけど、この短編小説集「女のいない男たち」はとても面白い本でした!
今回は映画「ドライブ・マイ・カー」の感想と見どころを映画素人の私が独断と偏見でご紹介します。☺
映画「ドライブ・マイ・カー」感想
- 序盤はちょっと難しいけど、中盤~後半は引き込まれた
- 映画全体が文学的で村上春樹の小説の世界観そのものだった
- 登場人物それぞれが抱えている闇がエグい
序盤はちょっと難しいけど、中盤~後半は引き込まれた
物語の序盤は俳優で舞台演出家の家福悠介(西島秀俊)と、元女優で今はドラマの脚本家として活躍中の妻・音(霧島れいか)の夫婦のシーンが多いのですが…
序盤はこの夫婦のベッドシーンがとにかく多いです!
親子やビミョーな関係の人と鑑賞するにはちょっと気まずい映画かもしれません💦
そして性交中に妻・音(おと)が物語を紡いでいくという謎の展開に、序盤は理解するのがちょっと難しかったです💦
しかし中盤からは、いっきに映画の世界に引き込まれました!
舞台が広島に移り、寡黙な若い女性ドライバーは渡利みさき(三浦透子)と出会ってから物語の雰囲気が一変します。
瀬戸内海の美しい景色や、愛車SAAB(サーブ)で巡る広島の観光スポット、北海道の雪景色など
約3時間の長い映画にも関わらず、飽きることなく物語の世界に浸れました。
最後には序盤の難解だったシーンも回収されてすっきりしました!
映画全体が文学的で村上春樹の小説の世界観そのものだった
「ドライブ・マイ・カー」は村上春樹さんの短編小説集「女のいない男たち」(文藝春秋)に掲載された6篇の短編小説のうちのひとつです。
映画は原作となった「ドライブ・マイ・カー」のほかに「シェエラザード」「木野」がモチーフになっています。
私はとくに「木野(きの)」が好きでした!読んでてゾワゾワする短編小説でした!
さらに主人公の家福悠介(西島秀俊)が俳優で舞台演出家であることから、劇中では
チェーホフの「ワーニャ叔父さん」や、サミュエルの「ゴドーを待ちながら」などの文学作品が劇中劇として扱われています。
チェーホフは十代のころ読んだけど、難しくてそれ以来遠ざかっていました…
「ワーニャ叔父さん」を読んでおけば、序盤の難解さをもう少し理解できたかも!
映画全体が非常に文学的であり、村上春樹の小説独特の世界観が凝縮されたような映画です。
上手く表現できませんが、現実的で冷静で一見クリアに見える世界の中に、確実に黒い何かは存在している感じです。(>_<)
この辺りが好き・嫌いが分かれるポイントかもしれません。
登場人物それぞれが抱えている闇がエグい
主な登場人物4人がそれぞれの「過去」に対する後悔や闇を抱えています。
ざっくりまとめるとこんなカンジ↓
- 家福悠介(西島秀俊)…妻が抱える「闇」に向き合ってこなかった後悔
- 家福音(霧島れいか)…高校時代のある事件に対する恐怖
- 渡利みさき(三浦透子)…実母との関係性に対する思いと後悔
- 高槻耕史(岡田将生)…自己の衝動を抑えきれない不安定さ
そんな彼らが出会うことによって、それぞれの「過去」「後悔」「闇」に向き合っていきます。
人は誰でも人には言えない何かを抱えているもの…
心理描写が絶妙なので、この4人がの誰かに自己投影できるのかも?
登場人物に感情移入しやすい点も、私がこの映画に引き込まれた理由かもしれません。
映画「ドライブ・マイ・カー」の見どころと気になった点
映画に疎い私が見所と気になった点を独断と偏見で紹介します!
(※くだらないので、映画通の方はスルーしてください☺)
見どころ
- 役者の方々の演技が素晴らしい
- 無口なドライバー役の三浦透子さんの存在感がスゴイ
- 岡田将生さん演じる高槻耕史の狂気がハマり役で、独白シーンが印象的
- 映像がとにかくキレイ(ロケ地の広島・北海道の景色が愉しめる)
- 多言語で韓国手話を用いた劇中劇が、長い作品のアクセントになっている
気になった点
- 雪道を車で走るシーンがあるが、タイヤ交換はいつしたのか?
- 家福悠介(西島秀俊)の目の問題に関するトピックは必要だったのか?
- ラストの韓国でのシーンはどうゆう意味なのか?
おわりに
友人に「ドライブ・マイ・カー」を勧められて、久しぶりに映画館へ出かけた私。
「3時間という長尺でつまらない映画だったらイヤだな…」
こんな心配は杞憂におわり、最後まで飽きることなく鑑賞しました。
映画を鑑賞するまで、原作もアカデミー賞にノミネートされていることも全く知りませんでした。
後で原作とモチーフになった短編小説を読みながら…
「なるほど~この小説のこの部分が、映画のあのシーンになったのか!」
と、勝手に分析するのも面白かったです。
私は映画を観てから原作の小説を読みましが、逆でもまた違った感じで映画を鑑賞できたかもしれません
第94回アカデミー賞の発表は2022年3月28日です!
もし鑑賞された方がいらっしゃいましたら、コメント欄に感想をお寄せいただければ嬉しいです♪
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ここまでお読みいただいてありがとうございます。
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コメント
(ネタバレあります。)
はじめまして。
目のエピソードは、あの「空き巣」と家福のつながりを表すために必要だったと思いました。
家福がヤマガという構図は明らかだと思いますが、前半の「左目」の緑内障は、あの「空き巣」が「彼女」にペンで反撃された時に「左目」を負傷することから、家福を暗示する役目をします。
つまり音は、「左目」を話に使うことで、(無意識に)家福を指し示していたのです。
「彼女」は最終的に「空き巣」を殺し罰を覚悟するが何も起こらない、それは不倫をして家福を傷つけたにも関わらず、(家福に目撃されたことを、音は不倫中にいつの間にか自宅の鍵がかかっていなかったことで知る)家福が何もなかったかのように振る舞うことと重ね合わせられるようにするつながりの役目です。(「殺す」ことが「傷つける」ことの代わりの表現にもなっています。)
そしてこの音の話は、自身のドラマ脚本用に語っているので、音自身の経験の話ではありません。(車中で家福が「君の初恋の話かと思ったよ。」と笑って、音が「そんなことあるわけないじゃない。」と笑って返事をしているので。)
ラストでみさきがあのサーブを運転しているのは、(タイトル「ドライブ・マイ・カー」があのタイミングで入ることから)家福から車を譲られたと考えられるのではないでしょうか。緑内障は車を譲る「理由」の一つとしても考えられます。
偉そうに色々書きましたが、読み取るべき情報量の多い映画です。よければ何度か観てください。
特に高槻の車中の告白シーンは、二回目の方が私には迫力がありました。「自分のことも語っていたんだ………。」と、胸がつまります。
何度も見て、その度に何か発見することができる優れた映画だと思います。
長々と失礼いたしました。
通りすがりの人さん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
目のエピソードについて丁寧に分かりやすく書いてくださってありがとうございます。😀 「なるほど~」と目からウロコでした!
≧「殺す」ことが「傷つける」ことの代わりの表現にもなっています。
左目の問題がここに繋がっていたことに全く気がつきませんでした。
音が語ったあの謎の物語についても、やっと理解することがきました。
コメントをいただいて、もう一度映画をみたくなりました。
一回目では全然気がつかなかった事を発見できるかもしれません。(^^♪
貴重なご意見ありがとうございました!