本の感想「汝、星のごとく」凪良ゆうさんの恋愛小説が直木賞候補作に

本のこと

こんにんちは。

アラフォー独女のMOMOです。(プロフィールはこちら)

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速報!「汝、星のごとく」第168回直木賞の候補作品に選ばれました!(2022.12.16発表)

今回は凪良ゆうさんの小説「汝、星のごとく」のご紹介です。

凪良ゆうさんは「流浪の月」で2020年本屋大賞を受賞されています。

「汝、星のごとく」と「流浪の月」どちらも面白かったのですが

今回は最新作の「汝、星のごとく」のご紹介です!

汝、星のごとくを読んだ率直な感想は…

冒頭でグッと心をつかまれて、あっという間に物語に引き込まれ

集中力がなく本を読むのに時間がかかる私ですが、久々にいっき読みました。

普通の男女の恋愛小説、それも「純愛」

同時に親子関係や社会の問題も描かれている物語です。

この記事はこんな人におすすめです☺

  • 本・読書が好きな人
  • 複雑だけど固い絆で結ばれ男女の恋愛小説を読みたい人
  • 自分の親(もしくは子供)との関係について考えたことがある人

よろしければこちらの記事もどうぞ↓

汝、星のごとく(なんじ、ほしのごとく)

タイトル 汝、星のごとく第168回直木賞の候補作
著  者  凪良 ゆう(なぎら ゆう)
出 版 社  講談社
発 行 日  2022年8月2日

第168回直木賞の発表は2023年1月19日です!

※こちらの記事は可能な限りネタバレしないように書いています。

著者紹介

凪良ゆうさんてどんな人⁉

  • 滋賀県生まれ。京都市在住の小説家
  • 2006年 ボーイズラブ(BL)作品にてデビューし、「美しい彼」はTVドラマ化された
  • 2017年 非BL作品である「神さまのビオトープ」で高い支持を得る
  • 2020年「流浪の月」第17回本屋大賞を受賞

凪良ゆうさん小説はBL作品から恋愛小説まで、その幅広い作風も魅力です!

作品紹介

風光明媚な瀬戸内の島で育った高校生の暁海(あきみ)と転校生の櫂(かい)の15年間の物語。

暁海の父は島外の刺繍作家の女性と不倫関係にあり、

家族が暮らす家には戻ってこない。

夫を頼りに生きてきた暁海の母は、次第に心身を病んでいく…

一方、自由奔放な母の恋愛に振り回され、島の学校に転校してきた櫂。

島でスナックを営む櫂の母は、島の女たちから一線を引かれている。

娯楽が少ない島で、二人の家庭はかっこうの噂の的だ。

家庭の事情が筒抜けの島内で、ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、

惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。

高校を卒業後、2人で島を出ようとする暁海と櫂のまえに立ちはだかる

子に依存し、子の人生を蝕む親の問題。

生きることの自由と不自由さを抱えながら、互いに求めがならもすれ違っていく…

そんな二人の男女の純愛の物語。最後は衝撃的な結末が…

感想

「自分の人生を生きることを、他の誰かに許されたいの?」

これは暁海の父親の不倫相手、瞳子(とうこ)の言葉です。

刺繡作家として生計を立て、自立した女性の瞳子。

本来は憎むべき相手なのに暁海は瞳子から大きな影響を受けます。

「自分の人生を生きることを、誰かに許されたいの?」(P75

閉ざされた島でプライベートをさらされ続けた暁海の心に、瞳子の言葉がささります。

島のみんな。世間の目。でもその人たちに許されたとして、わたしは一体 ―。(P75)

この物語にはヤングケアラーという社会問題が映しだされているように感じます。

(ヤングケアラー=家族のケアをするために、家事や家族の世話などを日常的にする子どもたちのこと)

強すぎる責任感から、自分が母親の面倒をみなくてはいけないと思い込んでいる暁海。

瞳子の言葉によって、初めて自分の人生について考えます。

「一度きりの人生、他人の目を気にして生きることに何の意味があるのだろう…」

本を読む手が一瞬止まりました。

自分の欲しいものを手に入れることを、誰かに遠慮して(もしくは言い訳にして)

諦めてしまったことが、誰でもひとつは持っているのではないでしょうか?

人は生まれてくる環境も親も選べないジレンマ

この物語を読んでいて、どうしようもない苛立ちをおぼえました。

それは暁海の両親や、櫂の母親に対してです。

こんなにも子の人生を邪魔する親って、一体なんなんだ⁉(>_<)」

自身の境遇と重ねてしまったからこそ、苛立ったのかもしれません。

人は生まれてくる環境も親も選べません。

どんな親を持つかで、子の人生は大きく左右されます。

この物語はエグいくらいに、その事実を思い知らされます。

もし子を持つ親の立場なら、「ギクッ」とする方もいらっしゃるのかも…

読み手によって物語の誰に感情移入するのか、かなり違ってくるの作品なんだと思います。

理解しともに支えあう人の存在。恋愛ではない「愛」

この物語を読んでて感じたのは、暁海と櫂が通う高校の生物の先生、

北原先生の存在が、大きな救いになっていること。

北原先生は物語の冒頭から登場し、最後まで大きな役割をするのですが

これが本当にいい人なのです。(´▽`)

ただのいい人ではなく、二人を陰で支えながら、理解し、

一方的に尽くすのではなく、互いに支え合う関係を築いてしまうのです。

恋愛とはちょっと違う「愛」のかたちで。

誰に後ろ指さされようとも、自分を理解してくれる人がたった一人いるだけで

人は希望を捨てずにいられるのかも…

と、しみじみ感じながら最後までいっきに読みました。

本屋さん大賞を受賞し映画化された「流浪の月」はこちら↓

おわりに

汝、星のごとくを読み終えてすぐに、本屋さん大賞を受賞した「流浪の月」も読みました。

凪良ゆうさんの作品はこの2冊しか読んだことがありません。

ですが2冊ともすぐに物語の世界に引き込まれ、あっという間読み切りました。

そして読後はなぜが、心地よい静寂に包まれたような

良い意味でしんみりしてしまいました。(←誉めてます)

何はともあれ、面白い小説に出会って、物語に没頭できる時間こそ

読書の醍醐味だと思う今日この頃です♪

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