本の紹介「類」感想・森鴎外を父にもった末息子の生涯・朝井まかて著

本のこと

こんにんちは。

アラフォー独女のMOMOです。(プロフィールはこちら)

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今回は第34回柴田錬三郎賞を受賞した朝井まかてさんの「類」のご紹介です。

「類」は明治・大正に活躍した文豪・森鷗外の末子としてして誕生した、

森類(もり るい)の生涯を描いた長編小説です。

「類」は494ページあります!久しぶりにこんな分厚い本を読みました。😅

偉大な文豪であり、軍医のトップに上りつめた森鴎外(もり おうがい)を父にもち、鴎外の血を引く才能に恵まれた兄・姉のなかで、唯一「普通」に生まれてついた末息子の

教科書でもおなじみの森鷗外↑

森鴎外(もり おうがいとは?

  • 1862年2月17日(文久2年1月19日)、現・島根県津和野町町田で誕生。本名は林太郎(りんたろう)
  • 東京大学医学部卒業後、陸軍軍医になり、陸軍省派遣留学生としてドイツでも軍医として4年過ごす
  • 1907年軍医のトップ(陸軍省医務局長)に就任、旺盛な文筆活動で数々の代表作をのこす。「ヰタ・セクスアリス」「舞姫」「阿部一族」「高瀬舟」「山椒大夫」など

Wikipediaより

華麗なる一族に生まれながら、学校の勉強もイマイチで、勉強以外の才能にも恵まれたとは言えない

明治生まれでスーパーお坊ちゃま育ちの森類(もり るい)。

そんな類が歩む人生とは、一体どんなものだったのか⁉

この記事はこんな人におすすめです☺

  • 本・読書が好きな人
  • 文豪・森鴎外の家族について興味がある人
  • 裕福な家庭の戦前から戦後の暮らしの変化を知りたい人

類(るい)

  • タイトル 「類」
  • 著  者  朝井 まかて
  • 出 版 社  集英社
  • 発 行 日  2020年8月30日
  • 受  賞  第34回柴田錬三郎賞/第71回芸術選奨文部科学大臣賞受賞

森類(もり るい)とは?

  • 日本の随筆家
  • 1911年(明治44年)森鴎外の三男として生まれる

Wikipediaより

作品紹介

明治44年、文豪・森鴎外の末子として誕生した類。優しい父と美しい母志げ、姉の茉莉、杏奴と千駄木の大きな屋敷で何不自由なく暮らしていた。大正11年に父が亡くなり、生活は一変。大きな喪失を抱えながら、自らの道を模索する類は、杏奴とともに画業を志しパリへ遊学。帰国後に母を看取り、やがて、画家・安宅安五郎の娘と結婚。明るい未来が開けるはずが、戦争によって財産が失われ困窮していく――。

昭和26年、心機一転を図り東京・千駄木で書店を開業。忙しない日々のなか、身を削り挑んだ文筆の道で才能を認められていくが……。

明治、大正、昭和、平成。時代の荒波に大きく揺さぶられながら、自らの生と格闘し続けた生涯が鮮やかによみがえる圧巻の長編小説。

集英社公式ホームページより

著者の朝井まかてさんは1959年大阪府生まれの小説家

ペンネームの「まかて」由来は沖縄出身のおばあ様の名前に由来するそうです!

感想

  • 父・森鴎外が愛した美しい庭木と息子の父への愛慕
  • 激しい時代の変化の中、夫の類を支える妻・美穂の存在感

父・森鴎外が愛した美しい庭木と息子の父への愛慕

全16章からなる「類」は第1章「花ざかりの庭」からスタートします。

そこには森鷗外が愛した「花畑」と呼ばれた美しい自宅の庭が描写され、想像をかきたてます。

鴎外の花畑には矢車草やダリア、貝母ユリが咲いていたそうです☺

「学校の勉強もあの要領でやれないものかねぇ」

とは、母・志げの言葉。(P81)

学校の勉強が不出来で国士館中学校二年で中退した類ですが、パッパ(父・鴎外)が教えてくれた木々や花の名・色・形・匂いはよく覚えていたそうです。

そんな類はパッパの死後、自宅のアトリエ近くに自らの手で池を掘り、バラやチューリップを植えます。

お坊ちゃま育ちの類がスコップを握りしめ「花畑のアトリエ」を造る姿に、

これほどまでに父を愛する息子がいるのか…

亡くなった父を慕う類の心情が、美しい花畑となって蘇ったような気がして、

物語の主人公の類に、少しだけ親近感を持つことができました。

激しい時代の変化の中、夫の類を支える妻・美穂の存在感

「類」の登場人物のなかで最も尊敬し共感できたのは、類の妻の美穂さんです。

類は1941年に画家の安宅安五郎の長女・美穂と結婚します。

今風に言えば、セレブ同士の結婚ですね!

しかし戦後の混乱の中、類が父・鴎外から引き継いだ財産のほとんどが価値を失います。

生活が困窮していく中で、子供達を抱え、働いたことがない夫の類に葉っぱをかけながら、

愛情深く子供達を育てる姿には、尊敬の念を感じずにはいられません。

生活のためようやく勤めに出ても、すぐにクビになってしまい、

それでいてお坊ちゃま育ちで、自分だけ贅沢のクセがやめられない類…

「こんな夫でなければ、きっと美穂さんはもっと幸福になれたのに…」

と、失礼ながら思わずにはいられませんでした。😅

それでも亡くなるまで夫の類を支え続けた美穂さんの存在が、心に残る本でした。

ちなみに類は美穂さんの死後3年たって、別の女性と再婚しています。(ちょっと複雑…)

森鷗外はキラキラネームの先駆者だった⁉

森鷗外は留学中、自身の本名・林太郎(りんたろう)が西洋人に発音しにくかった経験から、

自身の子供たちには西洋風の名前をつけています。

  • 長男: 於菟(おと)※前妻・登志子との間の子
  • 長女:茉莉(まり)
  • 次男:不律(ふりつ)※夭逝
  • 次女:杏奴(あんぬ)
  • 三男:類(るい) 

現代では珍しくない名前ですが、当時の感覚としてはかなりのキラキラネームだったようです!

名前に負けず、それぞれ個性的な生き方をした鴎外の子供たち。

夭逝した次男の不律(ふりつ)以外はみな父の才能に恵まれた兄・姉の中で類は育ったのですね…

おわりに(この本を読んだきっかけ)

本を読むのは好きだけど、本を読むのはめっぽう遅い私…

久しぶりに読んだ長編小説「類」は、かなり読みごたえがありました。

読んだきっかけは、毎度おなじみ林真理子さんのYouTubeチャンネル「マリコ書房」です。

自分では選ばない本を教えてくれるので、このチャンネルで紹介された本を読むのが最近のマイブームです。🤭

森類の生涯から様々な人々の一生が垣間見れた一冊でした。↓

マリコ書房で紹介された本の紹介はこちら↓

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